この道を、真っすぐ行けば

実家に戻ってきて一ヶ月近くが経とうとしているのだけれども

駅から家に歩いて帰ってきているあいだに

「はて、普段は直進するこの四辻を、左に行ったら何処に行くのだろう」

などと想ってみたが最後、すべての分岐路について思いを馳せてしまい

結局、二十五年ほど住み慣れたこの神奈川の一角の何も知らないことを発見した。

実を言えばどちらが北でどちらが南かもあまり知らないので

その四辻を左に曲がったら行き着く先が静岡か東京湾かも全く分からない。

そう思って道を眺めるとまるでアレみたいだ、

RPGで行けなかった場所が解禁されたような。

どんな洋ゲーの広大な世界よりもリアルは広いのだからもっと楽しい。

 

知識として知っている地図と、実際にあるいて心にとどめた地図はなかなか違う。

まして自分ちの周りで迷うこともないのでわざわざ地図をみることもない。

知った気になっているが全然知らなかった。

一番近いコンビニに行くのに遠回りしている事に最近気づいたぐらいだ。

実家から三分ほど歩いただけで道がわからなくなってしまう場所がいくつもある。

自転車だったら二十秒ぐらいの場所なので認識してしまうと不思議な記憶の穴が

どーーにも気になってしまう。時間があったら自転車でしこたま地図を埋めたい。