ペンギン地獄変
迂遠に表現されたものごとを受け取る能力が欲しい。
別に人と話している時の話ではない。
映画や小説やお芝居や、そういうものの中で
表現されたものごと、読み取る能力が低い。
文学というものを読んで来なかったからかなと
思っているけど定かならず。
もしかしたらそれはぶちまけたペンキの跡を見て
みてみて、あそこにペンギンさんがいるよ、
みたく勝手にないもの読み取る運動なのかもしれない。
しかし、いいじゃないか、俺はペンギンさんが見てみたい。
そこにいないかもしれないペンギンさんだが
実は二人でなでまわすとなんとペンギンさんが
そこにいるのとそんなに変わらないのだ。
三人でなでまわすとよりペンギンさんは輪郭を確かにしていき
三万人がなでまわすとペンギンさんはとうとう存在してしまう。
オーノーだズラ!俺にはペンギンが見えない!
即ち、俺はその見えざるピンクのペンギンの風下から密かに近づき、
捕縛し、デイパックに詰めた後、速やかに都立葛西臨海水族館へと
搬送し、受付で「王様のブランチ見たよ」と告げる事によって
ペンギンは父、ジオン・ダイクンの元に召されるであろう。