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旅の顛末 6

続 二日目

 

三人づつ、二台の車で河を目指す。

乗車の組み合わせは乗り降りするたびにグーパーで決めた。

行きは次女の車にYと乗る。それなりに長い移動時間の間、間断なく

何か色々喋った気がするのだが今ひとつ記憶が詳細に欠く。

工業地帯的なメカとダムがいかに格好いいかを話した気がする。

少なくともそこらへんは記憶に残っている。

なかなか女の子らしい雰囲気の次女氏、ダムフェチとはそそりますなぁ、と

思ったせいだろう。ダムデート、それって素敵やん。

しかし家族の目があるなか、ダム穴見物に宮崎まで行きませんかと

お誘いするわけにも行かない。しかしダムはいいものだ。

 

車で移動していると電車で移動するより奥に入る印象がある。

都内にあったなら観光資源になりそうな趣の旧い家がそこらにあるが、

人が普通に暮らしていると思うとなんだか不思議な気持ちになる。

考えてみれば都会の狭くて小奇麗な家に移り住むより

田舎の古民家みたいな物件に移り住むほうが面倒なのだろうか。

ちょっと二年ぐらい体験してみますか、という具合には行かなそうな気がする。

 

この旅行中ずっと、風景を眺めては普通ってなんだろうと考えていた。

 

車は山奥に入り、とうとう到着したところは川沿いの路肩だった。

というより、たまたま車が一二台止まれる程度のでっぱりが道にあり

そこに駐車してガードレールをまたいで斜面を降りる、無理矢理な感が否めない。

降りた所はなかなかに素敵な河原で曰く穴場というのも分かる。

コンクリートの段差から滝のように水が落ち、

大小の岩が転がる下流に流れ込んでいる。画になる風景だ。

清流が冷たそうに光るのを見てすぐに足を入れたくなったのだが

生憎とサンダルを持ち合わせていなかった。(持って来いと言われていたのに!)


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無断転載です

 

裸足でいいじゃないかと、私はそう思っていた。

ところが小石大石が転がる河原を裸足であるくのは実に困難で、

そのままペタペタとゆっくり歩いても悲鳴を上げそうになるほど痛い。

なんと人間とは脆弱なんだろうと妙に嘆かわしい気持ちになった。

靴がなければ10m移動するのにどれほどかかるのか。

311以降、文明喪失という想定を考えるが

水道が止まって便所が流せないというのは大変だなと思う、しかし

平坦な床か靴というテクノロジーがなければマトモに移動も出来なかったとは。

二本の足で自由闊達に歩いてるように見えて実のところほとんどの人間は

車椅子に乗っているのと大差がない。

 

Yのサンダルを貸してもらったりしたのだが、ほぼ同身長でも足のサイズとなると

男女でかなり違うらしく押し込んでも半端に足が出てしまう。

これで苔の生えた岩を歩くとかえって危なそうだった。

そういう事情と、前日の疲れが抜けなさもあり岩の上でずっと寝ていた。

日が射すとかなり暑いのだがものぐさが勝ってゴロゴロ眠り果てる。

同じ裸足でもFは器用に大きい石の上を選んで歩いたらしい。

今回の一行4人、一見全員文化系風なのだがそれぞれ運動が達者で

純粋なる運動音痴は私1人きりだった。こういう場所で身体を使うとなると差が出てくる。

おっかなびっくり動いているとなんだか恥ずかしい気持ちになってくる。

 

ひとしきり川遊びをしたアラサー四匹はまた車に乗り込み、きた道を戻った。

Nと私、Y母の組み合わせで帰って来ていたのだが、

Y母に話を振るタイミングを作れず、なにか申し訳ない記憶となる。

 

帰り際昼食にラーメンを食べる。次女おすすめのラーメン店に入ったのだが

Y一押しのなんとかいうラーメンチェーン(失念)も隣に併設であったので

二人で一杯をかけそばの如く分けあって二店をはしごした。

確か一杯500円と550円だったと思う。500円のほうが評判がよかった。

ただ個人的には値段なりの味に感じたのだが、都心のラーメンだって

700円のラーメンのうち一体幾らが家賃なのかと考えると

味の差は気のせいなのかもしれない。

問題はYの推したラーメンが一日限定何食というやつで売り切れだったので

結局誰も食べれることなく不思議な気持ちが消化不良のまま出てきたことだ。

 

そういえばラーメン店に六つ折パンフみたいなのが置いてあって

チェーンのエリア長になった男の一代記が綴られているなど非常に興味深かかったし、

川では謎のオッサン共が突然ロープを貼ったり縄梯子を降ろしたりし始めたりと

面白いこともあったのだが段々詳細に記述する体力が切れてきていて書けない。

しかしなんだか二日目はすぐに終わるような。