旅の顛末 7

続々 二日目

 

それからどういう理由だかは今ひとつ思い出せないが麓のコンビニから

Y実家まで歩いて帰ろうということになり、車を降りてとぼとぼ歩き出した。

私は岩の上で寝ていただけだが、川で活発に活動したNなど大変な疲れようで

二三十分の上り坂は中々厳しいように見えた。

途中通りがかった甲西中学校に掛かっていた標語「人権の薫り漂う甲西中」が

香ばしく、薄気味悪くすらあるので笑いながら見ていた。

デストピアで人間を支配している組織が掲げていそうな不思議な不気味さがある。

 

Y実家までの家は山の中で、もちろん舗装されてはいるものの、

道路の右も左も木々しかないところがかなり続く。

やたらと大きいトンボが道を延々往復していたり

ガードレールから数メートルのところに明らかなケモノの気配を感じたりした。

それ自体珍しくないわけではないが友人の生活圏だというのは初めてだ。

住めば都とは面白い言葉だなとふと思う。

 

Y実家到着。猫がいる。可愛いやつだ。

宅周辺は走るのに心地が良いということでジョギングをする。

特に何も準備はしてきていなかったので靴も服もそのまま。

山を下り、逆側から登ってくると大体5km前後で、涼しく、

まぁあと自然があり、走るのには確かに気持ちのいいコースだ。

私は本当に体力に自信がなく、ついていけるか不安だったが

問題なく、一周走り切った時点でもかなり体力に余裕があった。

身体を動かすことに関しては何をしても人より劣っているという

意識があるので、中々嬉しいことだ。

ただ、後日同じだけの距離を走った所、結構疲れたので

多分誰かとダラダラ喋りながら走るのは気が紛れていいんだろう。

東京でも誰かと一緒に走れたらいいのだけれど。

 

募集しておりますマジで。

 

夕食は確か、焼き鳥をいただいた。ホットプレートで焼いて食べた、筈。

どんどん記憶が定かでなくなってくる。

記憶定まらぬが美味しかったのは間違いない。

食卓のそばに女性向けファッション誌が一冊置いてあったので、

着回しストーリーや、どうみても気合の入りすぎた自称ラフな格好など

ひとしきり異文化をみんなで体験するなど楽しい時間を過ごした。

 

一日遊び、疲れ、また4人平行に並んで寝た。