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旅の顛末 8

朝起きて、朝食をいただく。その後甲西駅まで送ってもらい、

4人の旅は終わり、Yと解散。N、Fとは甲西駅から草津か米原駅まで同行、

乗り換えで2人は大阪方面へ。私はここから一人で甲府を目指す。

 

小学校時代の親友が甲府に住んで新聞記者をしている。

十八歳の時以来あっていないが「通りがかるから」と連絡をしたら

飲むことになった。通りがかると言っても経路に甲府があるわけではない。

日本を東西に移動するのでと軽い気持ちで提案したら話がついてしまった。

甲西甲府間は八時間以上かかり、甲府東京の終電は九時半なので

必然的に強行スケジュールとなる。土地勘のある仲間と離れ独り、不安が差す。

日が照っていて暑い。緑は鮮やか。

 

 

この帰路の孤独な時間のために本をいきがけ

図書館で五冊も借りてカバンに忍ばせていた。

文庫本とはいえ五冊も入れていると重い。

馬鹿みたいなことに、ずっと読んでいたのに結局

一冊も読みきる事はなかった。

 

本を沢山忍ばせて旅をしていると昔の家族旅行を思い出す。

幼い自分にとっては移動時間はただただ退屈だったので

小学生低学年の頃は家族旅行となるとリュックぎゅうぎゅうに

コミックボンボンを一年分ぐらい詰めてでかけていたものだ。

もう何度も読んで飽きてしまってるのに、

それでも何か発見はないかとまた読んだ。何をしてたんだろうか。

昔はそうだった。小6の時初めて買ったホビージャパンは毎日携帯した。

ボロボロになるまで読んで、白黒の広告ページまでほとんど憶えたりして。

それは本当に楽しいと思ったのだけれど、次号を買ったとき

同じ愛情を注げない自分に気づいてしまい、自己嫌悪と失望が始まった。

 

閑話休題、名古屋までは三時間もかからずついたと思う。

やはり帽子をかぶって大きな荷物を抱えた行楽客が多く、殆ど座れない。

いかにも旅行に行くぞ、とか来たぞという風采の人間に混ざるとどうも風情がない。

近所の路線で夏休みの子供に囲まれながら渋谷にでも遊びに行く気分になる。

鉄道のインフラが整っているという意味でもあるのだから、住むには悪くないだろう。

兎にも角にも、再び多くの友人達の故郷、名古屋に戻ってきた。

行きは東海道本線で南を来た。帰りは中央本線で北を回って移動する。

 

列車が来てドアが開くのをまっていたら後ろのオジサンに手でドアを開けられた。

なるほど、ボタンを押さなければというのは経験したが手で開けさせるのは初めて。

中津川行きの列車からはあからさまに乗客数が減り、一両に五人程度の乗車。

そしてどんどん山の中に入っていく。どうせならいつも見ない風景がいい。

確か中津川か塩尻が友人の地元だとreplyを貰った。

貰ったときはどうとも思わなかったが、

行ってみると少なくとも鉄道ではアクセスがかなり悪い。そして何もない。

何度も同じような感想で申し訳ないが、こちらが物見遊山で来ている風景に

友達の実家があって、そこで友人が育ったという想像力が働かない。

 

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塩尻で乗り換えると見たような地名が看板に登場。

まだ東京までは100km前後はあるし全く近くはないのだけれど

目的地の指標として八王子だの新宿だのと出てくるのはなにか面白い。

この線路をずずいと行けばあのブックオフや楽器屋がある八王子に行くのか。

移動中は本を読み、時々風景を眺め、大部分うとうとしながら過ごした。

途中、絵に描いて額にいれたような田舎の女子高生がいたりしてびっくりした。

一言声をかけて写真を撮らせてもらいたいぐらいだったがその度胸はなかった。

特に何があったわけではないので書くと短いのだが、まだ日の高いうちに

八王子だの新宿だのとみかけて、そこから四時間も五時間も山の中を進み、

甲府についたころには日が完全に暮れていた。

 

甲府、来るのは三度目。なんだか懐かしいような気持ちになる。

今年の始めだったか去年の終わりにも何でか甲府に来たのだった。

電池が切れかけのiPhoneで友人に連絡したところまだ

仕事が終わらないということなので、蕎麦でも食って待つことにした。

 

甲府の「麺は組」は池袋「壬生」の派生店らしいが壬生よりも美味い。

蕎麦といってもつゆにはラー油がはいっていて、

そばの上には肉と玉葱、ノリがこんもり乗っている。

食べ心地としてはラーメン、つけ麺に近いもので、中々美味しい。

このスタイルの蕎麦、実は色々な店がほとんど同じものを出しているが

今ひとつどこが発祥でなんという名前のスタイルなのかハッキリしない。

恵比寿駅前の「えびす製麺所」、虎ノ門の「港屋」など、

どれもテーブルに卵や天かすが置かれていてたまたま似たという段階ではない。

どこかが発祥で他が模倣なのだろうか。

今のところ甲府「麺は組」が一番気に入っている。

 

それでも時間があまったので斜向かいのココリというビルに入って時間を潰した。

このビルの中にはアニメイトが入っている。

前回きたときはいたたまれないイベントが開催されていて大変興味をそそった。