感謝とか小説とか
人に感謝を示すのは難しい。恩を返すのは難しい。
心地よくさせるのは難しい。なんか、どうしてか難しい。
どうも感謝や慎みや申し訳というものにどうもに欠く人間なので
あんまり考えたことがなかった。
その気になったら人の恩に報いる事なんてたやすいことだと、
ワンクリック、ボタンポン、レンジでチンといった
具合に思っていたのだけど、どうやらそうでもない。
ありがとう、に笑顔を添えるのはともかく
それ以上のこととなると案外考える事が多い。
一体その人何をしたら喜ぶんだ。
自分に関して言うならば、何がしか困ったときに世話になる人には
感謝してもしたりないし、助けて貰って大変うれしいのだが、
困ってもいないのに、例えばモノを与えられるとか
されても、ちょっと困る気がする。
それで自分が困ってる時に助けてもらった人に、
何かお返ししようとしても、発想が貧困な自分には
とらやの羊羹でも買って、差し上げる程度のことしか思いつかない。
発想、そう、あんがい恩返しというのは
クリエイティブな事なのか、と認識した。
もちろん、きっとそんなことはない、と思う。
クリシェでいいのにそれをしらないだけだろう。
___
周りに文学を読む人が増えたので本を読もうと思ったのだ、
と、以前SF百冊を読んだときにブログに書いた。
しかし終わってからふと気づいた。
俺の友達にSFマニアなどいないことに。
やれあの作品がよかったこの作品がこうだったなど
アハハウフフと話せる人間など実の所そうはいない。
あぁこれは間違ったぞ、と思った。
しかし結局今日も図書館で八冊ほどSF小説を借りてきているし、
なんだかんだで読みたいから読んでいる。
何かを好きになるという事はとても価値があることだから、
間違ったが間違いではなかったということにしておく。
にしても小説は読み終わればいいので気楽だ。
例えば「薬事法について百冊本を読みました」と
ブログでのたまったとする。
きっと、それでどれだけ中身を理解したものだか
問いただされるだろうし、その度合によっては
意味ねーじゃん的な批判の矢面に立つことになる。
でも小説は、小説を読んだことで何がどう役に立つか、
何をどう身に付けるのが正解なのかなんてない。
とりあえずは一度は読んだんですよという
体験の堆積だけでいい。お勉強に比べたらお気楽この上ない。