2012年 読んだSFベスト10

去年はSFを100冊強読んだこういう事をした場合、

普通はベスト3なりなんなりを発表するものだろうと思いつつ、

そういう記事を書いて来なかった。

理由は幾つかあって、その1つはどれがどれより良いとか

あるいいはどれが一番良いとか、決めかねるからということと、

もう1つは、100冊ではちょっと足りないよなぁということ、

最後の1つは考えるのに時間がかかるから面倒だということ。

 

でも時々「どれが面白かったの?」と聞かれるし、

3人ぐらいに聞かれたのでいい加減まとめるかと思った。

順位は…読み返したらまた違うかもしれない。

 

 

 

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1位 

月は無慈悲な夜の女王 / ロバート・A・ハインライン

月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 1748)

 

SF、ハインライン、でオススメといえば「夏への扉」「宇宙の戦士」ですが、

こちらの方を強く推薦します。表紙とタイトルの怖さに反して、

内容は明るく、楽しいので、700P読む気力がある方は是非手にとって欲しいです。

徹夜で一気読みしました。

 

2位

星を継ぐもの / ジェイムズ・P・ホーガン

星を継ぐもの (創元SF文庫)

 

定番です。大変面白い。大興奮しました。

 

3位

これはペンです / 円城塔

これはペンです

 

個人的には「こういうのが読みたかった」と思っていた一冊です。

大興奮して読みました。

叔父は文字だ。文字通り。 

 だからわたしは、叔父を記すための道具を探さなければならない。普通の道具を用いる限り、文字は叔父とはならないから。彼は文字のくせに人間なのだ。ペンを用いて叔父を書き、それが文字となるならば、いや勿論これは逆なのであり、ペンを用いて文字を書き、それが叔父となるならば、他の文字まで母やら祖母やらいうものなのだとなりかねない。それは困る。面倒だ。面倒なので困ってしまう。 」

というのが書き出しなのですが、ここまで読んで

ピンと来なかった人は別に読まなくていいと思います。

 

4位

ハーモニー / 伊藤計劃

虐殺器官 / 伊藤計劃

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

 

どうせ皆読んでるだろうし説明する必要ない気がします。

 

5位 

エンダーのゲーム / オーソン・スコット・カード

エンダーのゲーム (ハヤカワ文庫 SF (746))

なんでこんな表紙なのかわからないんですが、

子供が成長するにしたがって機転の利く敵を打ち倒す、という

結構わかりやすいお話です。海外版の表紙は内容そのまんまですね。

自分に自信がなくて平和的な性格のアカギが

ホームアローンみたく知恵で策を捻りだして生きていくみたいな話です。

これも徹夜でした。

 

6位

 

アッチェレランド / チャールズ・ストロス 

アッチェレランド (海外SFノヴェルズ)

 

 

近未来というよりは近現代といった感じ。

インターネットの自由人みたいな主人公の話で、

1日でいくつも特許を取ってはそれをフリーにしてしまう

みたいな話をしていたはずが、いつのまにやら

主人公の娘は木星まで家出しちゃうし、最後の方では

何万光年先でこの世界を走らせているコンピュータにハッキングかける

超知性体との邂逅みたいなことになっていて凄い加速感です。

 

7位

 

クォンタム・ファミリーズ / 東浩紀

クォンタム・ファミリーズ

 

 

めっちゃ面白いじゃないですか。もっと小説書いてください。

評判がよくないのですけど、

量子力学的なジャーゴンで混乱したという意見と、

途中の変態性欲的な描写が好きじゃないという意見、

著者と著者の立ち位置にこだわりがありすぎて色々きになっちゃうという意見、

あたりの割りとどうでもいいポイントに集中してる感じがするので

そういうのが気にならない人は読んだらいいと思います。

 

8位

 

都市と都市 / チャイナ・ミエヴィル

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

 

 

現代の東欧あたりに、ほぼ同じ面積を占めている

2つの国家があるという想定のお話です。

モザイク状に入り組んだ国土を持っている国で

お互いの国民を「見ないように」生活してるので

A国民からは賑わった繁華街でもB国民にとっては

閑散とした路地裏だったりするわけです。

そこでA国民にはB国に見えてB国民にはA国に見える

C国という秘密の存在があるのではないか、といった展開など

かなり面白く読みました。

 

9位

 

ファウンデーション ―銀河帝国興亡史〈1〉 アイザック・アシモフ

ファウンデーション ―銀河帝国興亡史〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)

 

 

定番です。このあと10冊ぐらいシリーズが続くのですが、

3冊目ぐらいまででいい気がします。

とか言いながら一気に全シリーズ読んでしまったので

すごくおもしろかったです。

 

ファウンデーションアシモフですけど、

ハインラインアシモフ、アーサー・クラークの三大巨匠は

どの人も作品がエンターテインメントでスゴく読みやすい。

あの人達の有名な作品はどれを読んでもすんなり入れるのではないでしょうか。

 

 

10位

 

キャッチワールド / クリス・ボイス

キャッチワールド (ハヤカワ文庫 SF 431)

 

 

ランキングの中では断トツのマイナーさなんですが

なんかこの人一発屋なんですよ。内容は面白いのに。

お話は謎の珪素生物みたいなのに攻撃されて滅亡寸前の地球から

宇宙戦艦隊を結成して敵の母星を叩く、という

宇宙戦艦ヤマトな設定のお話なんですが、話が一筋縄で行かない。

発進したらいきなり戦艦のAIが誤作動起こして戦艦一隻速攻沈むし

そのあとは延々「どうやってこのAI制御の戦艦をコントロールして

目的地までたどりつけばええんや…」みたいな話をやってたりする。

七十年代の癖に知性体アップロード的な発想や

宙に浮かぶインターフェイスの描写など、すごく早いです。