引越しました。
もう一ヶ月以上も前になってしまうけれども、引っ越した。
横浜市の辺境にある実家から、都内へ、
洗面所もない狭小なワンルームに一人で暮らしている。
以前も実家を出ていたが二人で暮らしていたのだけれど、
一人暮らしというのは実のところこれが初めての経験で、
何をするにも新鮮だし、何をしてもおもしろいことだらけ。
しかし、何も分からず、何も知らず、何も出来ないことが、一々恥ずかしくもある。
自分にとっては目新しい発見も、周囲の友人にとっては十年前に通った道だ。
そもそも一人で生活するというのは
ある種の特殊能力のように考えていた節があって、
なんとなく、飯を炊き、部屋を片づけ、着るものを洗っては干すというのは、
それがたとえば両親の出費で維持された一人暮らしであろうと、
自分のような自堕落な人間には到底なしえない偉業のように思っていたのだが、
やってみると、これといって難しいことはない。
もしかしたら、潔癖症の人間が見たら卒倒するような
とんでもなくいい加減な生活をしているかもしれないが、
それでも、こうも安価に手軽に電気やガスが使える今時分、
人間は余程のことでなくてはくたばらない。
花見の前に桜が散ってしまうかしらと話題になっていた4月の初めに
特に相談なく、物件を内見し、契約書の連帯保証人欄に
父のサイン、押印を求めた時、普段から過保護気味の母は
体調を崩して寝込んでしまった。
よほど重病かと思ったが、どうやら本当に
息子が出て行くことのショックが原因だったようだ。
まぁ妹も就職したし、子離れのいい機会ではないだろうか。