六月
一人暮らしを始めて一年と少し経つ。
引っ越してすぐの頃は毎日毎週自転車で駆けずり回ったのだけど、
最近は余りそういうことをしなくなった。理由は別にないと思う。
ホーソン実験のような何かだ。
六月になり、窓から日差しがよく入ってくるようになった。
初夏の日差しや風の手触りが好きだ。その中にいると、
まるで遠い思い出の中にいるような気持ちになる。
一年中初夏の国に移り住めれば
いつも心地よく幸せな陽光を浴びられるのだろうか。
生きていてずっと、何をするにも余裕がない。
どんどん何をするにも上手になっていいはずなのに、
そういう気がしない。そもそも、何かを上手になること自体が
上手になって然るべきだ。そういう風になりたい。